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日経新聞 2002/06/25
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【地域通貨 近畿に広がる】--実践の県内6団体交流

近畿各地で新しいタイプの地域通貨の発行が広がりつつある。JA兵庫六甲(神戸市)は来年4月にも、農産物の代金の一部として使える通貨を発行する計画。大阪府寝屋川市や京都市の商店街もかいものに使える地域通貨を相次いで導入する。地域通貨の連携の可能性を探るため、兵庫県篠山市では7月に「地域通貨サミット」が催される。

JA兵庫六甲の構想によると、「KOBEたべもの通貨」(仮称)を、農作業を手伝った人や観光農園など農家との交流事業に参加した消費者に支給。JAの直売所で農産物を買う際、代金の一部をこの通貨で支払うことができる。消費者間で買い物代行、パソコン指導などサービスの交換をする時にも使える。

同JAはコープこうべ、神戸市消費者強化などと共同で五月に地域通貨制度の研究会を立ち上げた。約一年かけて検討し、まず神戸市西区で通貨を発行、将来は市全体で流通させたい考えだ。

一方、商店街の振興を兼ねて地域通貨に参加するのが寝屋川市の大利商店街振興組合。非営利組織(NPO)「寝屋川あいの会」が発行する地域通貨「ありがとう券」を七月中旬から買い物券として使えるようにする。

この通貨は昨年五月に導入され、高齢者の家事援助などサービスの交換に利用されていた。サービスをした人は運営費を除き一時間当たり六百円相当の同券を支給される。

京都市の京都三条会商店街振興組合も九月をメドに地域通貨「リボン」の流通実験を開始する。商店街で一定の買い物をした人にリボンを支給。地域の小学生が空き店舗を利用して運営する「子供ショップ」でリボンが使えるという仕組み。子供ショップの商品は商店街が供給する。また地域の市民が望む事業への支援も、リボンとの交換で商店街が実施する。

滋賀県野洲町では昨年末から自然エネルギーの普及に地域通貨を連動させるユニークな試みが始まった。町民からの出資で太陽光発電装置を購入したNPO「エコロカル・ヤス・ドットコム」が出資者に出資額より一割り増し価値を持つ地域通貨「スマイル」を発行。この通貨は協賛企業からの商品購入や資料館などで使われている。
兵庫県では氷上郡の「未杜」、宝塚の「ZUKA」など地域通貨を発行、もしくはこれから導入する六つの団体が七月七日に篠山市で「地域通貨サミット」を開き、今後の連携を検討する。


【JA兵庫六甲】
<農産物代金の一部で支払い 顧客と緊密な関係狙う>

主にボランティア的なサーボスの交換に使われてきた地域通貨が商品購入など利用範囲を広げている背景には、地域経済の低迷がある。地域通貨を流通させることで地域の消費者との関係を緊密にして、商店街の活性化や地域経済の自立うぃ図ろうというわけだ。

JA兵庫六甲のケースには、地域通貨を利用して農家と消費者の交流を活発にし、できるだけ地元の農産物を購入してもらえるよう努めるとの狙いがある。中国などから低価格の農産物の輸入が増えていることや、食品の偽装表示の問題が相次ぎ、消費者の不信感が高まっていることへの危機感も強い。寝屋川や京都の商店街の例も、地域通貨を受け入れることで地域との関係を緊密にし、商店街での買い物増につながればという思惑が込められている。

ただ通常、地域通貨は高齢者の介護などのサービスの交換に使われる。モノの売買に利用されると税金などの問題も生じる。今のところ経済規模が小さいこともあって課税対象にならないケースが多いが、国税庁は「地域通貨そのものではなく、ここの取引を見て個別に判断する」という姿勢だ。


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